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「女の人って、結婚する前は結構好きってふりするじゃん。
結婚した途端、あれこれ理由つけて拒否するじゃん。
それってすっげえずるいし、ある意味サギだと思わねえ?」
「……えっ?」
真彩の手からポロリと哺乳瓶が滑り落ち、ソファに座る右腿の辺りに転がった。
調子良くミルクを飲んでいた理亜が、可愛い拳を振り上げ、フギャ、と小さくグズる。
「ああ、理亜っち、ごめんごめん」
真彩は慌てて、哺乳瓶を拾い上げ、再び乳首を理亜の小さな口元にあてがう。
生後1ヶ月の理亜は、食欲旺盛な赤ん坊だった。
生まれた時は2700kgで小さめな女の子だったけれど、今は母子手帳にあるグラフ、うなぎ登り状態。
真彩のあまり出の良くない母乳だけでは足らず、時々粉ミルクもあげていた。
「男はさ、そういう相性も見て、結婚を決めるわけ。
それなのに、結婚した途端、釣った魚には餌をやらない方式じゃ、そりゃないよって思うよ。
何のために、毎日満員電車に揺られて必死こいて働いているの。
せめてさあ、家に帰ったら、優しく癒されたいって、思うの当たり前じゃね?」
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