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夜8時半。
真彩のマンションの近くにあるコンビニの前で、司と待ち合わせた。
真彩は肩にママバッグを掛け、理亜を抱っこホルダーで前抱っこして待つ。
司は川崎の自宅から、わざわざ理亜を病院に連れて行くのに、車を出してくれると言った。
ーー俺が救急に連れて行ってやるよ。
30分か40分くらいの間で行けると思う。車、黒いステップワゴンだから。
思いかけない司の言葉に真彩は何の躊躇もなく飛び付いた。
1人で理亜を病院に連れて行くのが、あまりにも心細かった。
ーー今、宮古島から母親が来てるんだ。渚は頼むから大丈夫。
すぐそっちに行くよ。
家の目印になる場所教えて。
やがて、夜の闇から二つのヘッドライトが現れ、四角くばった黒い車体が真彩の目の前で停まる。
(もうすぐ司に逢えるんだ…!)
こんな大変な時に、場違いにも真彩の胸は高鳴ってしまう。
分かっていた。
逢いたい、と心のどこかで願っていた自分を。
6年振りの再会。
こんな形で、逢うことになるとは夢にも思わなかった。
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