終わりの始まり

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空一面を黒く染め上げる漆黒の闇。それは紛れもなく、悪魔の軍勢だった。 「こっちに向かってるわ…」 まるで闇そのものが迫ってくるような、底知れぬ恐怖。見ているだけで吸い込まれそうになる感覚。僕たちはただ空を見上げ、恐怖に震えていた。 「悪魔だ…なんであんなに大軍で人間界に?どんなに召喚師が大勢いたってこんな数は…それに召喚師はこの国にほとんどいるのに、いったいどこから…」 完全にパニックだ。わけがわからない。 「ここは危ないわ。学校へ急ぎましょう!」 ユナが先頭をきって走り出す。僕たちもその後に続く。だが、ノイシュタッドはまだ空を見上げ、震えていた。 「ノイシュタッド!早く!」 僕の声で我にかえったノイシュタッドは、転びそうになりながら必死で走り出した。 そしてけたたましいサイレンの中、全員が無口なまま、ただただ学校へと向かって全力で走った。
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