終わりの始まり

5/10
前へ
/136ページ
次へ
召喚師になれる才能がある人間はとても少なく、才能があったとしても開花しない場合も多いため、召喚師の割合は非常に少ない。しかも召喚魔法は強力無比な為、召喚師になれた者はそれだけで立派な地位を得ることができる。 入学してすぐ僕にその才能があると分かると、強制的に召喚師の選択授業に入れさせられた。通常の基礎訓練や基礎知識などの授業は学年ごとに受けるけど、選択授業は学年に関係なく自分で選んだ授業を受けられる。ま、僕は選択の余地が無かったけどね。 「ノイシュタッドは神聖魔法だよね。どう?うまくいってる?」 「ええ!回復と防御壁なら使えますよ。まだまだですけどね」 ノイシュタッドは嬉しそうに答える。ノイシュタッドはマジメで勉強家だから、成績も優秀だ。将来は神の奇跡を起こす、神官や大僧正になるんだろうな。 「お!すごいじゃん!怪我したら、治してくれよ」 「もちろん!任せてください」 「おう!あーおなかすいた!あいつまだかな」 「キールの寝坊癖は相変わらずですね。でも全員そろってから食べないとユナに怒られます」 ちょうどその時、廊下の奥の方からユナの怒号が響き渡る。 「起きなさい!キール!あなただけよ、毎日起こされてるのは!少しはノイシュタッドを見習いなさい!」 「わかったよ、うるせーな。起きてるから静かにしてくれよ。」 機嫌悪そうに悪態をつく。赤い髪の少年が頭を掻きながら食卓に入ってくる。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加