隣室

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ちらほらと咲き始めた桜を眼下に望み始まった独り暮らし。 最初は家事の何もかもが久々過ぎて上手くいかないことも多くあったが、一ヶ月も経つ頃にはそれなりにこなせるようになった。 隣は大学生とまだ社会に出てまもない男の子……と呼んでいいのかわからないが、とにかくどちらも若い青年だった。 おそらくリビングが通りあわせなのだろう、休みになると社会人の青年の部屋からは時折音が漏れてきた。 とは言え掃除機の音や重たい玄関のドアの開閉音、あとは彼女でも連れ込んでいるのか楽しそうに笑う女の声くらい。 特別気になるものでもないし、むしろ俺にもそんな時があったっけなぁと懐かしく思うほどだった。
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