夏疾駆(sick)

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夏疾駆(sick)

   突然の風に  たなびく白い洗濯物   約束の空が   待ちきれずにもう   がむしゃらに駆け出すのさ    ぼくらのとこまで一緒にいこうよ  いつも走ってくのを見てたよね?  今日は“近く”で目が合ったんだ  それって大事なことなんじゃない?    水たまりを越えて  夏に混ざって  棒っきれ、つかんで支えにする   はじまりを知って   時々 目と目が感じる   友だちっていいな        少年はずっと  ときめくことだけで  縁(円)を描きたい   しおれそうな花を   つい指で いじって   しまうことだって   たまにあるけどさ    目線よりも低ければ  どこまでも行ける気がするし  引き返せるかを考えながら  今日を使いきる天才だ    河岸まで来て  夏にわらって  石ころ、波紋だけ残して消える   つながりを知って   いつしか手と手は   切れない証しになる        未来なんてね、形取れない  むずかしいことなんて後回し  ハイタッチ出来ることばっかりを  さがして、大きくなれ    水たまりを越えて  夏に混ざって  棒っきれ、つかんで支えにする   はじまりを知って   時々 目と目が感じる   友だちっていいな    いつしか手と手は  切れない証しになる (2013.07.19)
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