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──危ない。
危うく考えことのし過ぎで眠ってしまうところだった。
こんな場で眠れる筈などない。
BGMは前で経を唱えながら木魚をリズムよく叩いている和尚のそれか。
顔をあげるたび、疑問しか浮かばない。
前にある、十枚の写真。
それは、三年前にここ、王麻の地、それも自分の母校で突然謎の死を遂げた者たちの遺影である。
回りには三回忌に応じ集まった彼らの親戚や同僚、それに自分と同じ同級生たちが集まっている。
この者たちには疑問は無いのか。
そんな疑問を胸に刻み、三回忌は終了した。
──
カチン。
オイル式のライターに火がつく。
それを口にくわえたタバコに当て、肺へと煙を押し入れた。
紫煙が吐かれ、喫煙所が煙くなるとタバコの灰を灰皿へと落とす。
ガラン。
誰かが入ってくると、嬉しそうにこちらを見ている。
顔に見覚えがある。かつての面影が。
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