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寿浩は最後の紫煙を吐いて、短くなったタバコを灰皿に押し当てた。
寿浩「──何も。何一つ知らないよ。王麻高校で一夜にして全員死んだってことくらい。あっ、悠希を除いてね」
二人は三回忌なので、王麻の寺に足を運んできておりそこの喫煙所で話している。
優も一服が終わると、天井を眺める。
優「今日呑みにでも行こうぜ」
其の弐
優「とりあえず乾杯」
結局、優とも久々に話したかったし断る理由もない。
原子力発電所の仕事のため帰るのは明後日。
そして何より詳しく彼らの死について語りたく居酒屋へと足を踏み入れた。
寿浩「──あいつら、天国で元気かな」
焼き鳥を焼く臭いと煙が充満しているそこの居酒屋で、
ビールの入ったジョッキをテーブルに置いて言う。
周りの壁には焼き鳥やフルーツ盛り合わせ等々の品書きが貼られている。
優がそれを見ている時に早速切り出した。
優「天国行った時点で元気も病気もねぇよ」
寿浩「やっぱり俺は納得いかない」
寿浩の言葉で、壁を見ていた優の表情が変わり寿浩を見詰めた。
優「警察も何も頼れねえしな」
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