シンデレラは

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さて。 ある日のことである。 そんな彼女の耳に、一つの噂話が飛び込んできた。 一番下か真ん中か、とにかく、三姉妹の内の誰かが聞きつけてきた噂を、掃除の最中、常となっているイビリの中で聞いたのである。 「シンデレラ? 窓の枠が汚れていますわよ?」 「あら、シンデレラ。 床の隅にホコリがたまっていますわ」 「シンデレラ。あなたわかっていて? このように汚れた家では、王子殿下に軽蔑されてしまうではないの」 そう。 曰わく、舞踏会。 この国の王子に、定まった相手は無く ――早い話が、結婚相手を探すための見合いをしよう―― という趣旨で行われるパーティーである。 良家の子女のみに限られた招待。 その招待を勝ち取るために、三姉妹はやっきになっていた。 そのことをポロリと、シンデレラの前でこぼしたのだ。
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