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無論、シンデレラには遠い世界の話である。
奴隷身分の彼女にとって、何をどうこうする話ではない。
しかし。
彼女はこれを、チャンスだと思った。
何故か。
楽天家の彼女は、これを雲の上の世界だとは捉えなかったのだ。
上昇のための、蜘蛛の糸。
彼女には舞踏会が、そんな風に見えてしまったのだろう。
普通なら、話はただの空想で終わる。
どれだけ夢見ても叶わぬ現実――どこかでそれに気付くからだ。
が、彼女は違った。
彼女は底抜けの楽天家であると同時に、類い希なる計画家でもあったのだ。
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