《エピローグ》積極的灰妃

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もちろん、屋敷の誰もが真相を知っている。 だが、それには厳重なかん口令が敷かれた。 王子の岳父という栄光。 口をつぐんだ理由は、それだけではない。 それよりも。 王子の妻、後に王妃となるであろう女性を奴隷としてこき使っていた―― という後ろめたさが、彼らの口をふさがせたのである。 王子は、彼女に惚れ切っているという。 これ以上不手際があれば―― 一家がどういう目にあうか、想像するのも恐ろしかった。 こうして、互いの利害が合致し、今日の結婚となったわけだ。 屋敷の当主も、そしてもちろんあの三姉妹も、この事実は受け入れがたかった。 しかし、だ。 だからといって、逆らえるわけが無かった。
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