《エピローグ》積極的灰妃

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少しだけ、その後のことを語ろう。 晴れて一緒となった二人。 数年と経たずに王子は王となり―― その妻であるシィラも、王妃となった。 王子が国の支配者となって以降、彼の収める国はますます富み、周辺諸国一の強国として、人々から賞賛された。 その王を支え―― いや、国がこうも富んだのは、彼よりむしろ、王妃の功績が大であった―― ということが、城内では、まことしやかに語られたそうである。 さらに、彼ら以外の、人間について。 王子の叔父は相変わらずの遊び人。 老人と老婆は、そろって奥向きの侍従となった。 そしてかの麗しき女性は、国王夫妻の良き相談相手として、二人に重用されたようだ。 ちなみに。 あの、三姉妹についてだが。 彼らは王の外戚としてしばらくはいい思いをしたようだが―― 結婚から数年経ったある時、三姉妹の父 ――屋敷の当主―― が、王宮で突如乱心、王の身辺を騒がせたそうだ。 その罪で、彼は領地剥奪、彼の一族は皆平民へと落とされ、召し放たれたらしい。 その後の彼らの行方は、ようとして知れない。 理由は様々に取りざたされたが、真相は、闇の中である。 そこにシィラの意思が介在していたかどうか。 それは、知る由もない。
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