12時の鐘

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「まあ、あれだけの美人と結ばれるのも、男子の本懐か」 全てが王子の望む通りになるわけではないだろう。 が、彼女に翻弄される人生も、それはそれで幸せであるのかもしれない。 何しろ当の王子は、かの女性に『惚れきっている』いるのだから。 「だがそれは、兄上にも、有力貴族どもにも逆らう茨の道だ。 ――その意味が、わかるな?」 「わかります」 「なら、いい。 可愛い甥っ子の頼みだ、黙認してやろう」 ポン、と王子の背中を叩き、叔父は言った。 本来なら、止めるべき立場だろう。 だが彼は、無責任にも王子の行動を、『知らんぷり』した。 「叔父上。ありがとう御座います」 無作法な叔父とは対照的に、王子は深々と頭を下げた。 下げた視線の先に、胸元のバラが、色鮮やかに映る。 と、その時。 会場の隅で、小さなどよめきが起こった。
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