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そう……この日の帰り道がすべての発端だった…。
「なぁ、奏。呪いの映像って知ってるか?」
「最近話題になってるやつだよな。それがどうかしたか?」
「なんでもネットに転がってる動画らしいんだけど、見たら死ぬらしいんだ」
「どこのホラー映画だよ。いくらなんでもありきたりだ」
「それがどうやら嘘じゃないらしいんだ」
「どういう意味だよ?」
「昨日ネットで調べてみたんだけどな?一つ怪しいサイト見つけたんだよ」
そういって友人の蓮はURLが書かれた一枚の紙を渡してきた。
「んで、この件は俺に丸投げって訳だな?この根性無し(笑)」
「笑うなよ、だって奏こういうの得意だろ?真相が知りたいけど怖いからさ、だから頼む」
「ったくしょうがねぇな……わかったよ。今夜調べといてやる」
「じゃあ頼むわ」
「あぁ、俺もう行くわ。じゃあな」
そういって俺は蓮と別れ帰宅した。
家に帰っても誰もいるはずがない、俺は現在一人暮らしをしているからだ。
高校が実家から離れているので、それよりも高校が近い、両親が所有する別荘に住むことになったのだ。
俺はリビングに向かいPCを立ち上げ、検索欄にさっきのURLを入力した……すると次の瞬間PCの画面が真っ黒になり、しばらくすると動画が始まった。
映っていたのは一つの綺麗な浴槽だった。
「なんだこれ?」
意味が分からなかった。
こういう話のお決まりといえば古井戸が定番だ。
なのに映っているのは浴槽、しかも凄く綺麗な……。
何度考えても意味が分からない。
必死に考えを巡らせていると画面の浴槽に変化が表れ始めた。
「ヤバ……」
浴槽内から白い手が伸びる、そして浴槽から白い服を着た髪の長い少女が姿を現した。
どんどんこちらに向かって来る。
正直、俺は死を本気で覚悟した。
それはこの直後、杞憂に終わることになるとは知らずに……。
とうとう画面内から手が出てきた。
そして顔が……次は上半身……・。
(イヤだ!!!……死にたくない!!!!!)
頭の中で必死に言い続けた。
「イタっ、おしりがつっかえちゃった。ねぇ君、ちょっと引っ張ってくれないかな?」
「わ、わかった」
………………ホントに訳が分からない。
あろうことかその少女は俺に話し掛けてきて、しかも協力を求めてきた。
それで言われるがままにする俺も俺だけど…。
とうとう画面内から全身が出て来て、俺の上にのしかかった。
………どうやら実体はあるらしい。
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