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「えっ? 百合江さんってあの百合江さん?」
お姉ちゃんはゆっくりとうなずいて、置いていたビールをまた手に取ると勢いよく飲み干した。私はザザアッと血の気が引いて手足がとても冷たくなるのを感じた。
「石崎さんより年上だし、上司だよね? そんな事ってあるの?」
「みゃーこ、バカだなあ。いつも言ってるよね? 恋愛にはそんなの関係ない」
そりゃあそうかもしれないけど、嘘だと思いたい。百合江さんに初めて会ったのは……。会ったというより見かけただけだけど、二年程前、お姉ちゃんが家に持って帰ってた雑誌の記事で、なんて素敵な人なんだろうと思った。こないだ初めてお話した時もそれは変わらない。
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