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お姉ちゃんは、居間をぐるっと見渡す。きっとお姉ちゃんはお姉ちゃんなりに色んな思いがこの家にはあるはずだ。
「たぶん壊す事になるだろうね」
「お姉ちゃんはここに住むことになった時の事、覚えてるの?」
お姉ちゃんは少し嫌な顔をした。あまりいい思い出じゃないもんね。
「そりゃあ、覚えてるわよ。べしょべしょ泣いてるアンタを引きずって敏江ばあに挨拶させるまで大変だったんだから」
あ。『敏江ばあ』って言うのがうちのおばあちゃんなの。厳しかったよおばあちゃんは。お姉ちゃんは影でひっそり悪態をついていた。折り目正しい人だったから、子どもの私たちにはかなり窮屈だった。
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