暗雲の正体

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「あっ!」  と思った瞬間に視界がグラッと揺れる。私はゆっくりスローモーションの映像を見るような感覚で階段から落ちていった。実際はほんの数秒だったと思うけど。  下半身のあちこちをぶつけてしまった。  思わず落ちる前にいた場所を見つめる。  だってね……。誰かに押されたんだよ。たぶん。  誰もいない代わりに、入口から忘れ物を取りに行った五十嵐さんがでてきて、立てない私の様子を見て驚いて駆け寄ってきた。
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