暗雲の正体

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 リビングはエアコンが効きすぎていて、私は背中がぶるりと震えた。健吾さんは慌ててリモコンを押して私の肩を抱く。 「寒いか?」 「大丈夫です」  健吾さんと私、体感温度の相性は最悪みたい。健吾さんは意外と暑がりでエアコンがかかせない。私は真夏でも手足がヒンヤリしているくらいの冷え性だ。  一緒に暮らしてみて初めてその事に気づいた。 「美弥子はホントに爬虫類並みに冷たいな」  と言ってこうして温めてくれるのが嬉しい。触られることが、段々日常に溶け込んできている。
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