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暗い闇の中を、少女は歩く。
躊躇いのないその歩みは、自信に溢れている。実際に、少女には自信があった。
やがて現れた大きな扉を開く。その中の光景を見て、少女は顔をしかめる。
無数に転がる死体。
あるモノは全身の血を抜かれていた。
あるモノは無惨に食い散らかしてある。
あるモノは三本の剣で貫かれている。
あるモノは首を切り落とされている。
何一つ同じ死体がない。それに気付いた少女は、まるで子供部屋のようだと思った。
やがて、その中にある一つの死体の前で、少女は苦笑した。
「ダリア、相変わらずアナタの情報は正確よね。当然かな?被害にあったんだから。」
少女の目の前には、ダリアと呼ばれた女性の死体があった。全身に見られる、犬に噛まれたような跡が痛々しい。
僅かな時間、目を閉じて冥福を祈る。その最中に携帯電話が着信を告げる。
通話状態にして耳に当てると、そこから慣れ親しんだ声が聞こえた。
『ヤッホー♪元気してる?みんなの心のサプリメント、ダリアだよー♪』
「やっぱり、生きてたわね。本当に、どういう仕掛けなの?」
『そこは秘密♪』
いつものダリアの声に、少女は呆れた。
死体を見ても、死んだ事の証明にならない相手、それがダリアだった。
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