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そこは舞踏会ができるほどの大広間だった。
中央では、牛の頭をした筋骨隆々の半人半牛の男と、腹から下が馬の四肢の、半人半馬の男が、互いの肩をぶつけ、もみ合っている。
レンにとっては信じられない光景だったが、アスカは「ミノタウロスとケンタウロス……」と呟いた。
二体の怪物の周囲には、ドーナツ状にテーブルとイス、そしてT字型の棒が設置され、そこには紳士や淑女が座り、グラスに注がれたヴォルドーに唇を浸しながら、中央で行われている怪物同士の相撲を見守っていた。
宝石のカフスがついた上着に、きめこまかな刺繍が施されたドレス。
観覧者が着ている服はどれも高級そうで、貴族を思わせる格好だが、それを着ている観覧者たちの顔はいずれも青白く、その瞳は赤や緑、黄色など、それぞれの色で鈍く輝いていた。
レンが目を細めて、彼らをよく見ると、ある者は八重歯が獣のように尖っていたり、ある者は腕の代わりに翼が生えていたり、またある者は銀髪の髪からサイのような角が生えている者がいた。
人間は1人もいなかった。
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