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すぐに、鳥の鳴く声が聞こえた。興奮を帯びたその奇声に、大広間にいた者達は次々と歓声を上げた。
レンの背中にじわりとぬくもりが広がる。アスカは恐怖のあまり、下腹部が脱力し、小便を漏らしていた。
すかさず、ラミアが声をあげた。
「御嬢さんが粗相しちまった。誰か、服を用意してやりな。ホビットのがあったろ」
信じられないことに、魔物たちは笑うのをやめ、スキュラと呼ばれる半人半魚の女が地を這ってアスカに服を持ってきった。
それはシンプルな白いネグリジェだが、清潔で、芳醇な香水の香りがした。
ラミアはその太く長い蛇の下半身でアスカの身を包むと、汚れた服を脱がし、新しい服を着せてやった。
ラミアの手にあった古い服は、ライオンの頭をした何かが吐いた炎によって、瞬時に灰になった。
レンとアスカは恐怖こそ抱いていたが、魔物たちの様子に驚いていた。
その理由は、彼らの気品にある。
てっきり、血を浴びることを好む様子の彼らだが、アスカへの対応は、人間社会の大人たちよりも洗練されていた。
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