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地下墓地で行われる集会には、かなり多くの国民が参加していた。
王妃の予想とは違い、皆がこの国についてを語り合う光景が、その集会の主旨だった。
王妃は蛇の像を見つけると、すがるような気持ちでその舌にキスをした。
……どうか、愛人の子が流産し、自分のお腹に子が宿りますように、と。
そのとき、どこからともなく老女の声が聞こえた。
「……子は二人産まれる」と。
不吉な予言を耳の奥で木霊させ、クロウディアは逃げるように、私室に閉じこもった。
……間もなくして、子を孕んだ愛人は失踪し、クロウディアが妊娠していることがわかった。
やがて、国王が帰ってきた。しばらくしてからクロウディアの子が生まれた。
玉のような男児だった。赤い髪をしていた。
国王は、子を孕んだ愛人が失踪したことも忘れ、嫡子の誕生に喜び、一方クロウディアはやや疲れを帯びた真っ白な表情で、初めて心から笑った。
出産に際し、クロウディアは自分でも驚くほど、表情豊かに、苦しみ、泣き、そして笑った。
もう、クロウディアのことを石などと呼ぶ者はいないだろう。
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