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目が合った命を石に変えることができ、その頭髪は彼女よりも賢き蛇の軍団を飼っている。
そんな存在であるからこそ、彼女は歪な城の、吸血鬼の隣に、居場所を手に入れた。
クラウドはこの城の宴に参加し、全戦全勝を記した。
彼女は良識こそあるが、情はなかった。
他者を石に変える行為は、本能のようなもので、予め有した防衛本能から、相手が硬く無機質な石像になっても、特に後ろめたさを感じることはなかった。
敗者を食すことに、はじめは多少の抵抗があったが、ピエルはクラウドに、骨のよけ方や牙は食べないよう、生きる術を優しく指南し、彼女は説明を受ける度に、食す行為への罪悪感は必要ない、と学んだ。
加えて、新たな感情を知った。
それは恋だった。
ピエルは、大抵の種族に公平で、紳士として、ジャッジとして、完璧に振る舞った。
この城にいる種族のなかで、最も古株であるのはもちろん、そういった立ち振る舞いと、その強さから、彼の存在こそこの城のルールだった。
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