灰色の魔女

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彼女は、出会って間もなくして、あの老人に対して抱いていた尊敬の念を、ピエルに抱くようになる。 あの老人のように、自分を凌辱するかもしれない、という一抹の不安はあったが、ピエルはあの老人よりも遥かに強く、美しく、魅力的で、彼女の懸念が崩壊するのは時間の問題だった。 きっかけは下半身が蛇の美女、ラミアの存在だった。 ラミアはピエルの強さと存在に取り入ろうと、彼をよく、いやらしい言葉を発して密室に誘った。 ピエルは毎回体よく断っていたが、売女のようなラミアの誘いを見るたび、クラウドの心の天井が熱くなり、蛇の首が膨張した。 運よく、最近になって、クラウドはラミアとゲームをする機会を得、それはクラウドの圧勝で終わった。 勝敗がつく直前、クラウドは石になっていくラミアの耳に、石になっても、砕けると元に戻る、と言ってから、こう続けた。 「……お前の死体を苺みたいにすり潰して、豚に食わせてやる……」 ラミアは声にならない絶叫を最後に、硬い石となった。 ピエルもまた、今までにないくらい、彼女を手厚く扱った。  
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