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灰色の魔女が、吸血鬼に恋をすることは、極々自然なことだった。
やがて、この城にあの美しい兄妹がやってきた。
はじめ、クラウドは、自分にも兄弟がいれば、あんな風だろうか、とレンとアスカを傍観し、どこか自分とアスカを重ねるように見ていた。
「アスカ! 鳥が飛び立つときの音のような、爽快な名だ!」
だが、直後、ピエルがアスカに言った言葉を皮切りに、クラウドはアスカを嫌悪するようになる。
アスカという名前から、空を連想する言葉で、ピエルがアスカを称賛した、という些細なことだった。
だが、その些細なことをきっかけにして、クラウドはアスカという少女に嫌悪感を募らせるようになる。
アスカがハルピュイアをポーカーで負かし、ユニコーンを時計棟で拷問したときも、クラウドはおもしろくなかった。
そして、極めつけはアスカがピエルの奴隷を殺したときだった。
アスカの行動は、この城において無秩序で、とうとうピエルの逆鱗に触れることになる。
……クラウドは、アスカという少女のことが、許せなかった。
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