灰色の魔女と伝説を穿つ少女

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レンとアスカの脳裏に、時計棟の工房が浮かぶ。 「そしてもう一人は、私よりも前から、この城にいた城の女中だ……とても美しい女だが、我々とは違う意図でここに呼ばれていた。我々の世話役のような立場で、宴についても彼女が言い出したことだ。 よって、彼女は特権を与えられていた。微々たる特権だが、あの扉を開ける力を持っていたようだ。その力で、二人は扉の向こうに行った。 私は最後に訊いた。扉を開けるにはどうしたらいいか? 我々はどうしたらいいか? 彼女は言った。『ゲームを続けて、最後に残った男女の番が扉を開ける資格を得る』と……」 兄妹の心中に、様々な思いが巡るが、ピエルはさらに続けた。 「兄妹でも、恋人同士でも、どんな種族同士でも、問題ない。男と女というジェンダー、それが鍵だ。 ふたつのジェンダーこそ生と命の道への鍵。神と悪魔の心を許し、その扉を開ける、資格。 ……君達が生き残るか、我々が扉の向こうに行くか。これが最後のゲームだ……比べよう、優劣を。さぁっ!」  
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