11745人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ
……ピエルの話に、レンは油断していた。
その油断をつき、ピエルが二人に突進した。
ピエルの突進は身を屈め、自身を狭くしたもので、日を背に伸びる影のように鋭く、静かで、恐ろしく素早い所作だった。
だが、その突進は大砲の弾のように重く、レンの身体を壁に激突させ、壁を貫いてもなお突き進んだ。
……こうして、妹は魔女の下に取り残された。
「……石になった者は、魂までそれになる」
クラウドがアスカの耳に、囁いた。
クラウドは、ピエルの突進とともに動いていた。そして、アスカは動くことも叶わず、冷たい床に頬をつけていた。
クラウドはアスカの頬に三匹の蛇を這わせ、愛撫するように、彼女を怯えさせた。
「……ドラゴンを屠るため、右腕と右脚を食わせたのが仇になったな。せめて楽に終わらせてやる」
最初のコメントを投稿しよう!