灰色の魔女と伝説を穿つ少女

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だが、彼女が培った言葉が、文化が、魔女のなかで稲のように育ち、やがて物事を考える道筋が、魔女に極々わずかな善や心を生んだ。 それは魔女が体験した度重なる裏切りや理不尽によってさらに縮小したが、一度得れば決して消えぬ晃だった。 総じて、灰色の魔女はこの城において、最も賢く、哲学的な存在だった。 だが、同時に絶望を知り、彼女は喉の渇きのように、答えを求め、そして不安定な思考の持ち主だった。 だから、魔女は少女に訊いた。 「なあ、善を孕んで死んだ罪人の魂はどこに行く? 天国か? 地獄か? 石になった者の魂は石になる。ただそれだけ。天国にも地獄にも行けない……。 じゃあ、善の心を僅かに、ほんの僅かに持った者なのに、ヒトを石に変えたり、悪行を繰り返す者は、どこに行く?」 クラウドは既にアスカの命を握り、間もなく殺すか石にすることが出来る。 クラウドは、戯れの一環で、心の奥の、奥にある憂いの本音を、アスカに言っていた。答えなど求めていない。 それは、飼ったばかりの子犬に語りかけるほどの戯れだった。 「……次の人生で考えればいい」 「……え?」 次の瞬間、魔女の身体が弾丸のように跳んだ。  
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