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「開けろ! 目を、開けろォ!」
蛇に氷を砕かせると、クラウドはアスカの顔を引っ掻き、彼女のまぶたをこじ開けようとした。
痛みや興奮、加えてひっかき傷のせいか、アスカの頬に赤い涙が流れていた。
クラウドは油断しなかった。
蛇で少女の首を絞めることもできたが、不気味で抜け目のないアスカという少女だから、首を切っても蘇るかもしれない、と危惧した。
クラウドは、アスカを確実に石にするべきと考えた。
間もなく、魔女の指が少女のまぶたをこじ開けた──。
「あっ」という声とともに、クラウドは、生まれて初めて自分の顔を見た。
アスカの瞳に、クラウドの瞳が映ったのだ。しかし、結果として石になるのはクラウドだった。
「貴様、きさまぁ、眼球を、眼球をォォ!?」
アスカは……自ら両眼球をくり抜き、代わりに同じくらいの大きさの氷を入れていた。
アスカはまぶたを開くことによって、血濡れた氷の欠片をクラウドに見せたのだ。
それは赤い鏡のように、クラウドの美しい顔を映した。
加えて、氷の向こうにボールのような眼球がふたつ転がっていた。そして、アスカの衣服は自身の血で真っ赤に染まっていた。
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