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「君の力はそんなものか、レン!?」
ピエルは、右拳でレンの左頬を殴りつけた。
ピエルとレンの闘いは凄まじいもので、二人は地下水路の壁を突き破り、幽閉棟の螺旋階段に場所を移していた。
ピエルの腕力をはじめとした身体能力は常軌を逸し、ミノタウロスのそれを遥かに凌駕する怪力の持ち主だった。
「これは欲しくて手に入れた力ではない! 幾百星霜の間、他種族を食い続けた副作用だ!」
レンの蹴りを避け、ピエルは右肘と右膝でレンの右腕を挟む。骨が軋む音が螺旋階段に木霊した。
ピエルの四肢は膨れ上がり、首はギロチンの刃も通さないほどに膨れ上がっていた。
ピエルの様子は、今までに見せた優雅で気品に溢れたものから打って代わり、牙をむき出しにした筋骨隆々の戦士だった。
一方レンは、フィロス戦で見せた力こそ健在だが、経験豊かなピエルの動きと怪力に翻弄されていた。
「ハーフゴッドなのだろう!?」と言って、ピエルはレンの腹に拳を放つ。
レンはピエルの拳を避けるが、代わりに彼のアゴをピエルの左膝が襲った。
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