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返事をすると、美智子さんは大きなキャスター付きの鏡を私の目の前に置く。自分を見て思わず小さく「あっ」と悲鳴が出た。
触った感じで想像していたより、ずっとひどかった。長さもバラバラで、見るも無惨。髪くらいなんともないと思っていたけど、我慢しようと思っても涙が勝手に湧いて出てくる。
美智子さんはそんな私に良い匂いのするハンカチをそっと差し出してくれた。
「ショートもきっと似合うわ。こんなに頭の形がきれいなんだもの」
「そうだといいな……」
「大丈夫よ」
そう言って美智子さんは私の髪を霧吹きで濡らしてピンで留め始めた。
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