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「なあ、美弥子」
「はい」
健吾さんは私の短くなった襟足のうなじにキスをしてから、こう言った。
「俺も『みゃーこ』って呼んでいい?」
「ええっ! 何でですか?」
「いや、最初に出会った時からそれが最終目標みたいなもんだったから」
「最終目標?」
健吾さんはいたずらが見つかった男の子みたいな顔で微笑んでいる。最近よくみるこの笑顔は、私も彼の事を少しは幸せにできている「しるし」みたいに思えて、嬉しい。
きっと、職場の人は誰も見たことのない笑顔。
「元カノ」の百合江さんだってきっと。
根拠はないけどそんな自信がある。
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