親族対面

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健吾さんの甘いお誘いを拒絶した、私はクローゼットとにらめっこする。 第一印象って、数十秒で決まっちゃうって言うよね。 昨日の夜も何を着るか散々悩んだ。お姉ちゃんにも電話した。 「あー。露出は最小限? まあ、美弥子はそんな服元々着ないから、家庭的な雰囲気を演出? 割烹着でも着てけば?」 割烹着なんて持ってないもん!! ってお姉ちゃんに言ったらゲラゲラ笑われた。 「割烹着は冗談に決まってるでしょうが。美弥子は、いつも通りで大丈夫だ」 お姉ちゃんはそう言いながらも、白(清潔感)とピンク(女性ホルモンを分泌してくれそうな色)でいいんじゃない。って言っていた。 「赤はやめときな。攻撃の色だし。黒とか紺とか、寒色系も、こういう色は防御とか拒絶を感じるね」 お姉ちゃんの意見を参考に、白っぽい服と、ピンクっぽい服をハンガーにかけて昨日、吟味したはずなんだけど、まだ迷う。 迷っていたら、健吾さんが、すうっとハンガーを手に取った。 私の視線は、うろうろ、ワードローブを眺めていたはずなのに、健吾さんの裸の背中で留まってしまう。 健吾さんの背中ってなんて素敵なんだろう……。 って、そんなこと考えてる場合じゃないってば。 .
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