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「どうやら、美弥子の思う通りになったみたいだな。中山の入れ知恵ってのが、あるみたいだけど」
健吾さんは、座標を見失いかけてた、優衣ちゃんの恋が走りだした事が、嬉しくてニヨニヨしている私にそう言った。
「お姉ちゃんは、色々手厳しいけど、やっぱ機転が利きますよね。もしかしたら、お姉ちゃんは、こうなる事わかってたのかも」
健吾さんは、眉を少しあげた。
「まあ、中山の方がこういうことには機転が利くかもな。俺よりも」
あ、なんか、思いっきり言葉の節々にトゲがあるんですけど。
「や、あの、えっと」
「いいんだよ。これで当分透吾も糠漬け食いにこないだろ? せっかくの休みにアイツは自分が邪魔者だって分かってて、度々来るのに少しいらいらしてたから」
「あ、あの、私優衣ちゃんに糠床の作り方教えたほうがいいんですかね?」
健吾さんの瞳の奥がレーザービームみたいに光った気がした。
「それだ。それでいこう。まああの感じだと当分はお互いに夢中で、家にはこないだろうけどな」
二人でそんな事を話しながら、リビングで、健吾さんとクッキー&クリームを食べた。
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