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健吾さんの実家で、めまぐるしく移り変わる、健吾さんのお母さんの質問に答え続けていたら、時間なんてあっと言う間に過ぎてしまった。
そして、私たちは健吾さんのご両親のお気に入りの中華料理店に来て、赤いくるくる回る円卓に、座って、透吾さんを待っている。
お姉ちゃんと輝さんは、私たちがつく前に、お店の前で待っていてくれた。健吾さんのご両親に紹介すると、お姉ちゃんは『完璧すぎる姉』を演じ切っていた。
歩いていける場所にあった、そのお店は、お店の入口に大きなドラがあって、お店に入った時、私は、なんだかそれを叩いてみたいという、子どもっぽすぎる、衝動と戦った。
「轟音が鳴るからやめとけよ」
「健吾さん?」
「ガキの頃、透吾と二人でやって、母さんにしこたま怒られた」
見抜かれた恥ずかしさと、健吾さんの子どもの頃のイタズラの話が聞けた嬉しさで、ドラを叩きたい衝動は急激に消えた。
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