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「遅いわねえ。透吾ったら。健吾、電話して」
「さっきメールで、駅までは着いてるって言ってただろ?」
「もう。あの子ったら子どもの時から、遅刻魔なんだから。仕事のときはどうしてるんだか心配よ」
日本にいる時は今は優衣ちゃんが、たたき起こして送り出してるみたいですよ。なんて言えるはずもないので、私は下を向く。
飲み物だけでも先に頼もうか? と、全員でメニューをめくり始めた頃に、透吾さんはやってきた。
優衣ちゃんも連れて。
「遅くなってごめんね。美弥子ちゃん。あ、母さん、この子優衣。そのうち結婚するからよろしく」
透吾さんの短すぎる謝罪の言葉の中に入っていた「結婚」の二文字に一番驚いているのは優衣ちゃんだった。
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