親族対面-2

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勝率の悪い健吾さんの目の前で、ビール瓶は、見事に止まって、透吾さんのガッツポーズと、 お母さんの「やっぱりねー。引きが弱いんだか強いんだか、分からないのよ健吾は」と言う声で、健吾さんは、静かーに財布を開いて、会計を済ませた。 「泊まってけばいいのに。ねえ、大丈夫、美弥子ちゃん、こんな事なら健吾に呑ませるんじゃなかったわ」 運転席の窓から車の中の私たちを覗き込みながら、健吾さんのお母さんがそう言う。運転席には私が座っている。 「大丈夫です。健吾さん、明日から出張だから、帰らなきゃですし。あの今日はとても楽しかったです。御馳走さまでした」 健吾さんが、私の頭をポンポンと、二回叩いた。 「御馳走したのは、俺。母さん、父さん、また連絡する」 「ありがとうございました」 こうして、私の緊張したけど、楽しい一日は、終わる……。 はずだったんだけど……。 .
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