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「……ってな訳で、派手に玉砕した。」
友人の茂武【シゲタケ】は、自分の失恋話をしょげる事なく、寧ろケラケラ笑いながら話していた。
「上玉だったんだぜ? 焦げ茶色の艶やかな髪、整った顔、クリッとした目、スレンダーな身体、白くて細い足。」
茂武は目を輝かせながら、身振り手振りでその女性のスタイルを表した。
「ばーか、そんな美人お前えなんかには勿体なすぎる。せめて俺ぐらい格好よくないと。」
もう一人の友人の雅哉【マサヤ】はメガネのブリッジを中指で上げると、茂武にどや顔を見せる。
「うっせーメガネ!鏡見てから出直せ!なあなあ、姫はどう思う?」
茂武に唐突に問われた俺は、思ったままのことを手にしていた紙に書き込み、二人に突きつける。
『姫って呼ぶな。』
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