■カレー作り

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「あと、キイチくんは食べ終えたら あなたの食器をこっちに持ってきて欲しいの。 洗わなきゃいけないからね」 「大丈夫、もう食べ終わるよ」 利一は皿の上のカレーを全て口に掻き込んだ。 さっきまでは テーブルに座っている口実として カレーを食べずにいたが、もう必要は無い。 座ったまま出来る指示を頂いたからだ。 濡れた食器と引き換えにそれを姫野さんに渡す。 「じゃあキイチくんは 食器拭きをお願いするわ。 あ、あと雪ちゃんは焦らず無理しないでね」 「…ありがと…」 相瀬さんは 又もやスプーンを口に入れた。 さっきよりもペースが落ちてる辺り、 限界は近いかもしれない。 そして姫野さんは、 利一の使っていた食器とカレーの鍋、飯ごうを 金属のお盆に載せると そのまま流し台の方へと歩いていった。 利一は早速、 乾いたふきんで食器を拭き始める。 すると、姫野さんが お盆を持ったままこっちに戻ってきた。 利一は食器を拭きながら口だけ動かす。 「よお、えらく早いな。 自動洗浄機でも使ったのか?」 「ちょっと事情が変わっちゃったのよ」 「事情?」 「あのね、キイチくん。 まだお腹に余裕、ある?」 「へ?」 姫野さんは 先程の鍋をコチラに傾けてきた。 中を覗き込むと カレーのルーが入っている。
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