■鍾乳洞

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利一は水筒からお茶を飲んだ。 こうすると、 少しはマシになる気がする。 ココでキャピキャピ大学生教師、 安西先生がマイク片手にたち上がった。 ≪は~い、みんな注目~!! 雲ヶ原駅に到着したけど2,3説明があるから 先生の話しを聞いてね~! あと、隣の人が寝ていたら起こしてあげて~≫ 利一は先生の指示に従い、 相瀬さんの小さな肩を揺する。 すると、 彼女の澄んだ瞳が小さく開いた。 「よお、着いたから起きな」 「…ココ…どこ…?」 言いながら相瀬さんは 小さな口を一生懸命開けて欠伸をした。 「そうだな、 観光バスの中ってのは確実だ」 「…そんなの…知ってる…」 相瀬さんの眉がクイッと上がった。 「冗談だよ、ココは雲ヶ原駅だ。 今日のメインイベントの会場だぜ」 「ふぅん」 相瀬さんは目を擦りながら 吐息の様な返答をした。 質問した割りには、 興味が無さそうな反応である。 いつも通りだな。 利一は頭の中で呟きながら 安西先生に目を向けた。 ≪さぁて、これからはお待ちかね、 班での自由行動が始まりま~す!≫ ココで生徒達から歓声が上がった。 みんな楽しみにしていたのだろう。 …オレはお腹がイマイチだから あそこまで盛り上がれないけどな。
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