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「いやーすまんな待たせて」
「いえ、全然大丈夫ですよ」
あれから五分程でジャル先生は本当に来た。
そして、儂について来いというのでついて行った結果、空き教室に連れてこられた。
この空き教室は先生達しか鍵を持っていない。
生徒は勿論、普段使わない場所なので他の先生が来る心配もない。
話をするのには良い場所だろう。
でも、考えて欲しい。
放課後、誰もいない教室、ここまできたら女の子さえいれば完璧な告白のシュチュエーションだ。
男なら想像したことぐらいあるだろう。
放課後誰もいない教室に呼び出されて行ってみたら、女の子がいて告白してくれるシチュエーション。
青春の1ペースだし、甘酸っぱいもんだ。
なのに、現実は筋肉隆々で無精髭を生やし、ダンディな顔立ちの40代男性教師が俺の目の前にいる。
ラブコメのラ文字もない。
いや、確かに話しやすい場所がいいとは言ったよ?
でも、応接室とか相談室とかあるじゃん?
なんでそっちを使わないの?
筋肉隆々で無精髭を生やしたジャル先生と、放課後空き教室で秘密の話をするっていう青春の1ペースは、できれば刻みたくなかったんだけど。
「で、バルロー話ってのはなんだ?」
俺が少しナイーブになっていると、ジャル先生が聞いてきた。
そうだ。 今はナイーブになってる場合じゃない。 早く本題に入らないと。
「すいません、ジャル先生お願いしたいことがあるんです!!」
「儂にお願いしたいこと? それはなんだ?」
これからどうなるのかは分からない。
でも、ここで言わないと俺は先に進めない。
……言うんだ俺!!
「ジャル先生!! 俺の師匠になって下さい!!」
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