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「大丈夫だよ」
空気に飲まれそうになり、一瞬動きの止まった私を見かねて、横に立っていた西浦さんは優しい声をかけてくれ、そっと背中を押してくれた。
「おはようございます」
「お、瑠璃ちゃんおはよう。ちゃんと考えてきたかい?」
「はい。でも希望、としてですので」
「それで充分。あ、そっちにキャラデザのラフ来てるからチェックしといてくれるかな?」
「これですか?」
「そうそれそれ、何枚か選んどいて」
「わかりました」
入口を入ってすぐの机の上に置かれた十数枚の紙。
監督に言われるまま私はそれを持って空いている席へと腰を降ろした。特に誰かが厳しい、威圧感がある訳ではないのに、この部屋を漂う独特の緊張感。
口調も会話も柔らかいもののはずが、やはり集まる人間個人の空気の所為なのか。いつも思うのは本当にここに自分の様な人間が座っていていいのか?と思ってしまう。
「じゃあ、早速決めようか。まず瑠璃ちゃん配役はいいから名前だけ発表してくれるかい?」
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