2、事実は小説よりも奇なり

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開始と同時に監督から話を振られ、緊張しながらも一旦周りを見渡し深呼吸をし、監督を見た。 私の視線に小さく頷いてくれた監督を見て緊張しながらも私は口を開いた。 「はい。では、これはあくまで希望であって、予算やスケジュール等は全く考えていません。なので無理なものは無理で全く問題ありません。ただ私が書いてる時に頭の中で聞こえる声。そう思って下さい」   私が上げた声優さんは全部で十人。役名を言わずにただ声優さんの名前だけをあげた。 「異論は?」 「これなら予算的には問題なさそうっすね」 「ならスケジュールの確認させます」 「なんだか声優さんの名前だけで誰がどの役かわかっちゃいますね」 「じゃあ次は……」   え? いいの? 異論なし? 却下なし? どんどん進む話しに頭が付いてこない。驚きのあまりただ皆の会話が耳を通り抜けて行く。 「瑠璃さん?」   作画監督の伊藤さんに名前を呼ばれ、身体がビクリっとするほど驚いた。
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