2、事実は小説よりも奇なり

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「独断って訳じゃないっすよ、大きく反映はされるだろうけど。でもこれはちょっと……って思う事は皆はっきり言うから、そんな気負わずに決めてくれたらいいっすから」 「皆異論がないから瑠璃さんの意見で決まっただけよ。大丈夫」 「何かちょっとほっとしました」 「そりゃよかった。じゃあキャラデザが決まったら本格的に動くから今以上に忙しくなるから覚悟しておいたほうがいい」 「その事なんですけど、監督。アフレコチェック瑠璃ちゃんにも参加してもらっていいですか?」 「瑠璃ちゃんがいいなら。ただ日程的に毎回は厳しいんじゃないかい?」 「はい、なので手が空いた時は極力スタジオに入ってもらいたいと思ってます。瑠璃ちゃんそれでいい?」 「私なんかがアフレコ現場にいていいんですか?」 「いいんじゃなくて、チェックまで頼みたいんだけど?」 「チェック……?」 「そう、演技指導も含めてね」 「え、演技指導ですか!? 無理無理! 無理ですそんな事!」 「そう難しく考えなくてもいいよ。ただここのセリフは主人公ならこんな感じで話すな。みたいなイメージのすり合わせ程度でいいんだよ」 「イメージのすり合わせ……」 「そ、声優さんは全部の話を知ってから演じるんじゃないから、感情として少しズレが出たりしない様にね」   なるほど。 確かにその瞬間の気持ちは本人が表に出さずに隠した気持ちなどの関係で話し方や高揚具合が違う。 それぐらいなら何とか力になれるかもしれない。 そう思った私は『よろしくお願いします』と西浦さんに返事をした。
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