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「やあ」
ロビーのソファーにどっかりと腰を降ろして足を組み、余裕の表情で走り込んできた私を出迎えた目の前の男性。
「なんで?」
「さて、何故でしょう?」
「質問に質問で返さないで下さいよ。一体どうしたんですか?」
「耳鼻科って受診出来る?」
「耳鼻科? え! 大丈夫なんですか!?」
「受付行ったら良いの? 良く分からなくて」
「ちょっと待っててください」
状況が飲み込めないままで受付へと向い、初診用の手続きの書類と、耳鼻科の問診票を手に彼の元へと戻った。
「これに記入お願いします」
「ありがとう」
にっこりと笑い、黙々と記入していく彼の横に腰を降ろして、その横顔をじっと見ていた。
「俺の顔に何かついてる?」
「いえ、そうじゃなくて、どうしてこんな所に?」
「ん? 昨日大阪でイベントがあったから、そのまま実家に久しぶりに帰っただけ。今晩また東京かえるけど」
「イベントですか? って事は私が関係ないやつですか?」
「そ、今回はゲームのイベント」
「ゲーム……。あ、夏イベですか?」
「正解。あ、明日来るんだっけ?」
「はい。今晩新幹線で。明日のお昼前にスタジオに入ります」
「で? 帰るのは?」
「翌日制作会議に出てラジオの収録と、雑誌の取材が二社。その翌日に帰ります」
「って事は三日位はいれるんだ」
「はい。そのつもりです。で? 三咲さんはどうしてここにいるんですか? わざわざ私を呼び出してまで」
「あれ? 受診しに来たって言わなかったっけ?」
「それはききましたよ。私が聞きたいのは、なんでわざわざってことです」
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