こいのぼり

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「よし、行くか」 次はしっかり手を握って歩き始めた。 やばい。緊張する。 いつもは春がいて一緒に場を明るくするし、スムーズに言葉が出てくる。 なのに、緊張で何もできない。意識しすぎて、言葉が出てこない。 「新、どんどん山奥へ来てるよ。道もわき道の方に来ちゃったし」 「まー、テレビで観るこいのぼりも山の中の川にあるし、車でいけばすぐだけど俺らは電車と徒歩だぜ?時間はかかるけど、必ず着くから」 そう言って繋いでない方の手をポケットに入れる。 「そうやってぐずると思ってさー。ほれ、飴玉」 飴玉を貴子に差し出した。いちごみるく味。 「ぐずるってなによ!もう、私は子どもじゃないんだから」 とか言いつつ飴玉を素直に受けとった。手を離して口に含める。 めっちゃ嬉しそう。
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