こいのぼり

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春の鞄のせいで声をかけてくるやつはいたが、さらにその人数は増していった。 「新吾、受験生にして恋の始まりか!」 「俺は応援する。相手は誰だ。聞こえなかったんだ教えてくれ」 いや嘘だろ聞こえてただろ。 それに、恋の始まりはもっと前だばかやろう。いやそうじゃなくて、いいから皆どっか行ってくれ! 「何赤くなってんだよ。多分、皆知ってるぜ」 春がにやける。 「貴子ちゃんだろー。可愛いし明るいし、あんだけ目で追ってたら誰でも分かるわ」 クラス総勢で茶化しにくる。 「ああっ、もういい!好きだよ!」 「よく言った新!俺が良いこと教えてやるよ。まー昼休みゆっくり話そうぜ」 春はそう言って、ホームルームが始まるため席へと着いた。 火照った頭が覚めねぇ。
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