終章

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―――… ―ハァッ…… 藍が漸く平助の元へ訪れたその時には… 新八が泣きながら抱きかかえるのは 真っ赤な血に濡れた―― 平助―… 「お、せぇ…よ…… っ…平助は……平助は、もう………っ」 震える足でゆっくりと近付けば傍らに力無く座り込み、そっと頬に触れる 「へ……す、け…?」  ――まだ、暖かい… 「なぁ……迎えに来て、て…言うたやん…… うちを、一人にせんといて――… まだ、桜の季節ちゃうけど……約束、したやん… 迎えに…来てくれるって…… なぁ…目ぇ、開けて? うちを…置いていかんといて―… なぁ……なぁ…!平助!?起きてやっ!! うち、あんたに言いたいことまだまだいっぱいあるねんで!? っ……こんなん……こんな別れ方……嫌やぁぁぁぁっ!!」 平助にしがみ付き泣き叫ぶ藍 声をかける者は誰一人居らず 辺りは悲しみに包まれた 淡い光を放ちながら降り注ぐ白い雪は真っ赤な血と混ざり 地面を薄い朱に染めた それはまるでいつか二人で見た 舞い散る桜吹雪――
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