第1章 新撰組

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土方は巡察嫌いだ。何故なら、巡察に出ればここぞとばかりに女性が寄ってくる 他の隊士から見れば羨ましい限り だが、当人はどうもアノ白粉の香りや、媚びる様な態度が好きになれない 「もう、土方さんは贅沢だなぁ。あんなに女性に好かれてるのに……もしや男のほうが好「シバくぞ、てめぇ」…すんません」 ギロリ、と睨む 土方は女性が苦手だが、決して男好き…衆道ではない 昔、奉公先で番台の男に迫られた事があり今でもトラウマなのである 思い出したのかブルッッと身体を震わせた 「まったく…贅沢だよ。あんなに女の人に寄って来られて文句言うのは土方さんぐらいだよ」 うらめしそうに睨む しかし、平助が女性に縁がないのかというと、決してそうではない 普段は可愛らしい顔で優しいがいざとなれば頼れる…とこちらも人気者だ 「俺はあんな媚びた女共はゴメンだ。もっと、こう…自然体、というか…」 「はいはい。つまりはおしとやかな感じがいいんだよね。 もう何回も聞きました。じゃぁ、僕は失礼しますよ」 いつものことなのか話をさっさと切り上げ部屋を出た 自室に向かう途中、声をかけられる 「お!平助、帰ってたのか。今日は手柄あったか?」 「あぁ、新八さん。まったくといっていいほどないよ。食い逃げ捕まえたぐらい」 がっかりだよ、と肩を落とす そんな平助の肩をぶんぶんと腕をまわしながら組む
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