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②
葵たちが千座先生のもとへ行った後、英雄は教室でふて腐れていた。
「へいへいヒデちゃん、また夫婦喧嘩かい?」
へらへらと笑いながら英雄をからかいに来たのは、英雄とは小学校の頃からの付き合いである軒並乂道(のきなみがいどう)だった。
葵を除くと、英雄とは一番長い付き合いである彼は、もちろん葵のこともよく知っている。
そして英雄と葵に何かある度に、夫婦喧嘩か?夫婦漫才か?と茶化すのだった。
「いやぁ、でも羨ましいなぁ。小飛音葵と言えばうちの学校で一、二を争う美少女じゃないか。あの長い黒髪、澄んだ瞳、ほっそりしているにも関わらず意外とある胸など…」
力説を始めた乂道の頭を英雄がノートで叩く。
「そんなんだからフラれるんだよ」
「ヒデちゃん!それだけはいっちゃならん!!」
小学校の卒業式が終わった後に始まった小飛音葵に告白しよう大会で、参加した男子が全員フラれるという珍事件は他校生の間でも噂となる程の事件である。
そして乂道もフラれた男子の中の一人であり、理由はシンプルに「気持ち悪いから」というものだった。
そんな事件もあってか中学に入学した当初は先輩や他のクラスの男子が休み時間になると挙って葵の姿を見ようとやって来ていた。
「でもなんでヒデちゃんあの時参加しなかったんだよ。ヒデちゃん結構イケメンだし、女子から人気あったじゃん」
「小学生だぞ?付き合うとかよくわかんねぇよ。それに葵はそんなんじゃねぇしな(まぁ、確かに最近大人びたとは思うけど…)」
「ほんと変わり者だよなぁヒデちゃんは。将来の夢も変だし」
乂道の言葉に英雄はすぐに反応した。
「変じゃねぇ!俺はヒーローになるんだ。ヒーローのどこが変なんだよ!」
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